夜明けのジャムパン
〇繁華街(夜明け前)
自転車で新聞配達をする青年。
青年の顔から吹き出す汗・汗・汗。
自転車のカゴに一杯に入った新聞紙。
〇雑居ビル前(夜明け前)
青年が自転車のカゴから新聞紙を掴んで雑居ビルに入っていく。
空になった自転車のカゴ。
〇同ビル内集合ポスト
ポストに新聞紙を手際良く入れ終え、ポケットから120円とタバコを出しながら雑居ビルから出ていく。
〇同ビル近くにある自販機
くわえ煙草で自販機にお金を入れる青年。
ボタンを押そうとしようとする時、「あの~」という弱々しい声がする。
青年が、振り返るとそこにはホームレスがいる。
ホームレス「すいません、田舎に電話をしたいのでお金をください」
しばらくホームレスを見る青年。
ホームレス「山口の田舎に電話をして、実家に帰りたいのです。」
青年、自販機からお金を戻し、ホームレスに渡す。
ホームレス「ありがとうございます。ありがとうございます。」
ホームレス、近くにある公衆電話を見て
「朝早いから、まだ俺の母ちゃん寝てるよ」
ホームレス、ニカッと笑って去っていく。
〇青年、自転車に腰かけて大きくタバコをふかす。
〇交差点(夜明け前)
交差点の傍にはコンビニ
青年が自転車でやってきて信号待ちをする。
コンビニの駐車場の外灯が点滅している。
ふとコンビニに見をやる青年。
するとコンビニからレジ袋を持った先程のホームレスが出てくる。
ホームレス、掻きむしるようにジャムパンの袋を開けて、ジャムパンを頬張る。
青年「・・・・。」
信号が青になる。
青年、力いつぱいペダルを踏んでコンビニを後にする。
〇橋の上(早朝)
太陽が昇り町を照らしてゆく。
全力で自転車を走らせる青年。